[ウィッチブレードのひとりごと]
会長とあの女の人は、何を話し合っていたのだろう? 私はお店の天井をぼんやりと見つめた。
あの人はアルケィナとエル研の間の連絡係なのだろうか? もちろんその可能性はあるだろう。 でも、それだけじゃないはずだ。 単なる連絡係なら、港での不審な行動が説明できない。 では、あの人は港で何をしていたのか? 単純に考えれば、港といえば舟だろう。 舟で何かを運んでいたのだろうか? もしそうだとすれば、夜中にこっそり運ばなくてはいけないような物のはず。 それは一体なんだろう? 私は胸をさすりながら必死に考えた。
そういえば・・・。 エルアン遺跡を調査していると、土の中からなんだか良くわからないものが出てくることがある。 会長はそれを遺物と呼んでいたけど、あれは一体何なのだろうか? 興味がなかったので、深く考えたことはなかったけど、とても大事なものだったような気がしてくる。 例えば・・・。 そう、兵器とか・・・。 ノア・ストーンの力で動く兵器。 古代文明が作った兵器を大勢の人たちが奪い合うなんて、物語とかでありそうだ。 そもそもノア・ストーンの力とかモラ族の秘術とか話が漠然としすぎてる。 それらを使ってもっと具体的な兵器が開発されていても全然不思議じゃない。 その兵器をアルケィナが手に入れようとしている?
私は目をつむり、ここまでの考えを何度も頭の中で繰り返し考えてみた。 考えれば考えるほどそれはもっともらしく思えてくる。 なんてことだろう。 ついさっきまで私は平凡だけどそれなりに幸せな暮らしを送っていたつもりだった。 でも、私の周りでとんでもない陰謀が計画されていたのだ。 それに私は気づいてしまった。 気づいてしまった以上、放っておくことなんて出来ない。 アルケィナの陰謀を阻止しなくては。
私は目を開くと、体を起こした。 カウンターの方でお店の人が二人、こちらを見ながら何か話してるのが見える。 これは誰にも相談できない。 誰にアルケィナの息がかかっているのかわからないからだ。 私一人でやるしかない。 とりあえず、あの女の人を見張ってみよう。 言い逃れできない証拠を集めて、それから・・・。
それからどうすればいいのか良くわからないけど、とにかく証拠集めだ。 私はそう決意すると、デザートを注文するためにメニューを開いた。