[ウィッチブレードのひとりごと]
レクスール・ヒルズが好きなんだ。 その彼女の言葉を、私はよく理解できなかった。 「好きな場所」ってどういう意味だろう? 「便利な場所」というならわかる。 銀行のそばや、アルターやマナ・ポーターの近くなど、 荷物の出し入れや移動がしやすい場所が「便利な場所」で、 そういうところに人は集まりやすい。 そういう場所のことなのかな? でも、そういう意味ではレクスール・ヒルズは決して便利な場所とは言えない。 銀行もないしアルターもない。 人が集まらない場所だ。 別の言葉で言えば、かなり田舎っぽいところだ。
でも、レクスール・ヒルズって不便じゃない? 私がそういうと、彼女は少し寂しそうに微笑んだ。 不便だけどね。でも好きなんだ。 行ってみる? 彼女はレクスール・ヒルズに行こうと誘ってきた。 私はかなり返答に困った。 もう話しは終わりかなと思いかけていたところなのだ。 これから別の場所に移動するとなると、終わるまでにまだ時間がかかる ということだろう。 それに正直に言うと、私は彼女をかなり変わった人だと思い始めていた。 変わった人の後についていくと変なところに連れて行かれたりしないだろうか?
迷ったけど、結局私は彼女についていくことにした。 何か面白いことがありそうだと期待してついていったわけじゃない。 苦戦した原因が自分にあるんじゃないかと悩んでいた彼女に、 たぶん私は同情していたんだと思う。 仕方ないなー、もう少し付き合おうかな。 そんな気持ちだったんだ。
つづく