[ウィッチブレードのひとりごと]
ベッドの上に横になりながら、カーテンの隙間から差し込む光をながめていた。 その光の強さから、外は晴れているのだとわかる。 気分転換に散歩でもしてこようかな。 何より、ゴロゴロしててもおなかは減るのだった。 広場の露天でサンドウィッチでも買おう。 それを持って散歩に出かけよう。 天気が良さそうだし、ちょっと遠出をしてみようか。 私はベッドから降りると、玄関の脇にかけてあるバッグを手に取った。
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注文したタマゴサンドと野菜サンドを店員さんが紙袋に入れてくれた。 私はその紙袋をバッグの中にしまうと、東門を目指して歩き出した。 東門はレクスール門とも呼ばれている、レクスール・ヒルズに通じている城門だ。 レクスール・ヒルズには会長のお気に入りの場所がある。 そこまで散歩することに決めた。
ビクトリアス広場を通っていく気になったのは、やっぱりおとといのことが気になっていたからかもしれない。 元気に遊ぶ子供たちを見て、私はほっとした。 辺りを見回し確認する。 あの女の人はいない。 子供たちの安全のためには私がずっと見守っているのがいいのかもしれないけど、もちろんそんなことはできなかった。 私は広場を抜け、東地区に向かうことにした。
東地区は小高い丘になっていて、ビスクの街中でも自然が多く残っている場所だ。 木漏れ日がさす小道を歩いていくと、小鳥のさえずりが聞こえてくる。 こんないいお天気の日に散歩していると、アルケィナの陰謀や事案のことがまるでうそのように感じられるのだった。 アルケィナの陰謀も事案も、私の勘違いだったらどんなにいいだろう。 私は少し暗い気持ちになりながら坂道を下っていった。
銀行が見えたら東門はすぐそこだ。 港が近いせいか、ほのかに潮の香りがただよってくる。 私は銀行の横を抜け、東門へ向かって足を速めた。