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エルアン文明研究会

毎週火曜日・土曜日 23:00~ Pearlサーバー レクスール城門南の小部屋 で開催中
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鬱屈の反動

[セレナイアの手記]

大聖堂の礼拝室で、ラル・ファクの光に照らされながら祈りを捧げる。 ステンドグラスを通る光が、足元に虹色の彩を与えると 私の心も澄み切って、神の愛に包まれるような、そんな気持ちになる。

今日は、あまり気が向かない場所に行くつもりだから いつもより念入りにお祈りをする。 神が私を守ってくれますように。 ラル・ファク、イル・ファッシーナ。

じっとりと湿った冷たい空気に、カビと腐肉の混じりあった臭い。 邪悪な蛇に髑髏の像が、冷たく見下ろしてくる。 暗闇に溶け込むように、真っ黒な衣服に身を包んだ気味の悪い人たち。 ここは、お世辞にも気持ちの良い滞在先とはいえない。

イルミナ様とイーノス村長は協力関係だけど マブ教徒はイーゴを崇拝していて、イーゴのためならなんでもやる。

この関係についてもう少し詳しく調べるために マブ教の本拠地、ムトゥーム地下墓地を訪れている。

私がラル・ファク教徒であることは徹底的に隠し通して いろんな人に話を聞いてみたのだけれど、正直気が滅入ってしまう。

ほとんどのマブ教徒達は、戦災孤児や生まれた村で疎まれた人 母国の敗戦に失望した人などなど、恵まれない境遇にあった人達だ。 マブ教はこういう人たちを保護して、恩を売り忠誠を誓わせたみたい。

マブの教義はシンプルで、絶対的な力を持つ存在 イーゴが世界を支配しそれに服従すること。

もともと虐げられた人たちだから、力への憧れは執着に近いものがあるし 自分たちをひどい目にあわせた今の世界を壊してやりたいと思っているのだろうけど それでこんな単純で極端な思想にすがっても、得をするのはイーゴだけなのに。

本来、戦災孤児の保護なんかは、ラル・ファク教が中心になってできれば よかったのだけど、戦後の混乱で余裕がなかったのは悔やまれる。 なんとかして、今からでもこの人たちを改宗してあげられないかな。

もっとも、ラル・ファク教徒を偽善者と呼び 敵対意識を刷り込まれてる以上は私にはどうしようもできないけど。

悲しい気持ちはさておき、マブ教団が運営する ネクロマンサー(死霊使い)のギルド、「暗使」の前で変なオブジェを見つけた。

絡み合う二匹の蛇に、髑髏のモチーフに、赤いヘルメット。 …うん?ヘルメット?

明らかに場違いなソレに触れようとすると ぬっと目の前に大柄な人影が立ち上がる。

「わっ!ごめんなさい!」

人だ、オブジェの後ろに人がいたんだ。 咄嗟に謝って、改めて顔を見ようとするのだけど 頭を完全にヘルメットが覆っていて、どんな表情かわからない。 私よりずっと背が高いから、たぶんパンデモスの人だと思うのだけど。

「いえ。」

その人はそれだけ言うと、私の方を向いたまま黙ってしまう。 どうしよう、えっと、なんか喋らなきゃ。

「あ、あの!これって何でしょう?」

今思えば本当に馬鹿な質問だったと思う。 自分がマブ教徒や暗使のメンバーでないことが丸わかりだしね。

「さぁ、私も知りません。」 「そ、そうですか…失礼しました。ラル・ファ...なんでもないです!ではっ!」

その場は逃げるしかなかった。 人間、焦ると本当にろくなことにならない。 ヘルメットごしでも、最後にあの人がどんな顔をしていたかは分かる。 絶対、絶対睨んでた。