[ウィッチブレードのひとりごと]
次の日の朝、目が覚めると、いきなりおなかがグゥと鳴ったので、自分のことながらおかしくなって笑ってしまった。 そういえば、昨日の夜は何も食べないで眠ってしまったんだった。 西銀に預けておいた食べ物を引き出してこよう。 痛むといけないので、エルビンに行く前に預けておいたんだ。 ついでに掲示板によって、発表会の案内も見てこよう 夕べは汗をかいたまま寝てしまったので、簡単に体を拭いてから出かけることにした。
ダイアロスの銀行はとても便利だ。 いったん預けたものは、どこの銀行ででも引き出せる。 もっともこれは、改めて私が言うまでもなく皆が知っていることだけど。 でも、銀行が便利なのはそれだけじゃない。 銀行に預けておくと、食べ物が痛まないみたいなんだ。 生肉や魚の切り身、生野菜なんかは普通そこらに放置していたらすぐに悪くなってしまう。 でも、銀行に預けておけば痛まない。すごい! お金持ちの人たちは、冷蔵庫とかいう冷たくなる箱を家に持っていて、食べ物はその中に保管してるみたい。 でも、貧乏な私にそんなもの買えるわけがない。 だから食べ物を保管するときは銀行に預けることにしている。
でも、どうして銀行に預けると痛まないんだろうね? 以前、どうやって保管しているのか西銀のジャネットに尋ねてみたことがある。 彼女は秘密だって言っていた。 でも、口ぶりからするとあの娘もよく理解できてないみたいだった。 たぶんノアストーンでどうにかしているのかも?
私は銀行に預けておいた食べ物を受け取ると、外に回って掲示板を覗いてみた。 昨日のことがあったから、思わずあたりを確認してしまう。 朝早いから人影もまだまばらだ。 あたりにコグニートがいないのを確認してから私は掲示板に近づいた。
発表者の名前とテーマを確認する。 発表者は全部で3人。 そのうち2人は研究会でもベテランの人たちで、発表会の常連みたいな人たちだ。 でも、もう1人は知らない人だった。 名前はセレナイアさん。 ビスク港の塔についての発表らしい。 港に塔なんてあったっけ? 私は少し疑問に思ったけど、掲示板の前に長くいる気にはなれなかったから、発表会の場所と期日を確認したら、すぐ家に帰ることにした。
つづく