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エルアン文明研究会

毎週火曜日・土曜日 23:00~ Pearlサーバー レクスール城門南の小部屋 で開催中
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箱舟に乗って

[元銃弾販売員Ctanaの日記]

古代モラ族の古文書が見つかったという遺跡は、エルビン渓谷の南にある。 ホムンクルスというのは、人間を創り出す技術、あるいはその技術によって創り出された人間のことだ。

私もそうだけど、このダイアロスに居る旅人たちの身体は、元々の身体ではない。この島にたどり着く前に船が沈んで、元の私は海の底深く消えてしまった。今のこの身体は、モラ族の長老イーノスが創ってくれたものだ。モラの秘術で新しい身体に魂を結び付け、再生されたのが今の私。

私に古文書発掘の話をしてくれた人によると、新たな身体があれば、魂をその身体に結び付けて種族を変えたりもできるらしい。今の自分が気に入っているから、別の種族になりたいとは思わないけど。

 

床を走る光と頭上に浮かぶ光に照らされて、アルターの周りは独特の雰囲気に包まれている。 足元では、何のための装置なのか見当もつかない赤い三本の棒が、静かに回り続けている。 扉をいくつか通り抜け、階段を下り、ひび割れた通路を歩いて外部への扉を開けるとエルビン渓谷に出た。 振り返れば、今出てきた建造物がそこにそびえている。 “箱舟遺跡”と呼ばれている物だ。遥か昔、モラ族がこれに乗ってやってきたと言われている。

箱舟遺跡から山肌にはさまれた細い道を北へ向かって歩いて行く。しばらく歩くと、両側の山が途切れて視界が開けた。濃い霧の中に遠くで光る滝が見える。ゆらゆらと動いている黒い影は、草を食みながら移動する牛の群れだろう。 そして、目の前には大きな石が散らばっている。 折れて砕けて半分土に埋まった丸い柱。土と草に埋まってしまった石造りの床。 この瓦礫の山が古代遺跡だ。

箱舟でダイアロスにやってきたモラ族がここにある遺跡を作ったらしい。その当時は、あの箱舟と、その近くにあるこの遺跡のあたりがモラ族の暮らす地域だったということなのかな。

砕けて風化し、原形を失った今の姿からは、遺跡が元々どういう建物だったのかを想像することはできない。大きな丸い柱や広い床は石でできているから、石造りの建物だったということがわかる程度だ。 石の床が土や草の間から顔を出している範囲はかなり広い。当時の姿はわからないけど、相当大きな建物だったことは間違いないようだ。

「ここが始まりの地というわけね」口に出してそう言ってみる。 箱舟に乗ってやってきたモラ族は、この場所に石で何かを作り、ここで暮らし、そしてダイアロスに広がって行った。 ダイアロスで繁栄した古代モラ族の、ここが始まりの地というわけだ。

モラ族たちは、ホムンクルス技術で創った人造人間を使役したという。 この石造りの遺跡を作るのにも、人造人間たちが使われたのだろうか。 人を創り出し、それを使役する。なんだか考えてみるとおそろしい。

創り出された人造人間。 ある意味では、今の私もその中の一人だ。この身体は、モラによって創られた身体なのだから。 ただし、魂だけは、かつて人間だった頃の私から引き継がれたものなのだけれど。

 

モラ族たちは、ここで一体なにをしていたんだろう。 ここは、ただ暮らすだけの場所だったのか、それともこののち繁栄するための何かをしていた場所なのか。

ネオク山でここの話をしてくれた人の言葉が、頭の中に浮かんだ。 古文書に記されていたのは、人を創る技術の全てではなく、断片だったらしい。 そして、古代モラ族はホムンクルスを使い労働力を得ていたということだ。

ここは、もしかしたら、ホムンクルス技術の研究施設。あるいはホムンクルスを創るための製造施設。それともその両方だったのではないだろうか。 これからこのダイアロスで繁栄するために、労働力となる人造人間たちを作るための施設。それがこの古代遺跡なのではないだろうか。 この崩れた遺跡の姿は、私には衰退してしまったモラ族の姿と重なって見えた。