ダイアロスの精霊 考察1.0 ~ウンディーネの、歌~
文責:きみえ12号(ちょいすけ)
~石に秘められた物語~
preの始まりから遡る事、128年。
ビスク地方を旱魃が襲い、当時のビスクの民からその元凶と判断されたウンディーネ達が虐殺されました。その時、ウンディーネの1人と恋仲であった青年はウンディーネをかばいましましたが、殺されてしまいます。
青年と恋仲であったウンディーネは、自分達が守護していたカオスストーンを呑み込み、一匹の獣となってビスクの民を皆殺しにしました。
これが、preではQoAグラフヴェルズと呼ばれる記憶です。
[ウンディーネの哀歌]
魔物へと姿を変えた 美しく優しき水の精霊。光を失った苦しみが 聞く者の胸を締め付ける。
[ビサイドユアハート]
ウンディーネのうろこで作られたブローチ。
カオスウンディーネからこれらの品を見つけたならば、終に叶わなかった過去の追憶に思いをはせるしかありません。
この記憶で語られる人々が、真実、何を考えていたかは今となってはよく分かりません。
128年前のエイシスには、何故かプレイヤーキャラを知るイーノスが居ます。
そのイーノスは言います。
「いずれ、全てわかる」
我々、プレイヤーとプレイヤーキャラの視点では様々な憶測を立てれますが、真相が明らかになるのはまだ先の事なのでしょう。
今回は、事の真相に関わる事なのかも知れませんが、少し脇に離れた事を考察してみます。
それは、ウンディーネの持つであろう文化です。
~ウンディーネの文化~
preのウンディーネさえカオスウンディーネの持ち物であった歌やブローチを持つのは、これがウンディーネ達に伝わっている物だからかも知れません。
ウンディーネと言う種族は、恋愛感情を持ち、対象に人間を含める事が出来て、それを歌にする事が出来る。この事から、ウンディーネの精神構造には人に近い部分があると言えるでしょう。であればウンディーネ達の文化には、人と共通する部分は生まれると思います。
かつては、人とウンディーネの関わりはまだ多かったのでしょう。
しかしpreのウンディーネ達は全く交渉を受け付けませんし、亜人達の持つ独特の文化性も感じません。ビスク一帯が壊滅するだけの被害を受けながら、ウンディーネの事を語る人もジョーのみ。彼女達と人が全く没交渉となった理由として考えられるのは、
一、グラフヴェルズでの出来事から、人との交渉を受け付けなくなった。
一、絶滅は免れたものの、文化を継承する事が出来なかった。。。
色々な理由は思い浮かびますが、どれも決め手はありません。
preのウンディーネが持つ哀歌やビサイドが文化の継承を示しているかも知れませんが、すでに意味を失った遺物を収集、保存しているだけかも知れません。
ウンディーネとの交流は断たれたも同然ですが、せめてその姿を推し測る材料を、他に求めてみました。
それはウンディーネが、死者に関わっているかも知れない様子、つまりマブみです。
カオスウンディーネがいるホールオブインフェルノに向かうには、4属性を持つ蛇を倒して、それぞれの属性の石を入手しなければなりません。この属性蛇には、蛇と同じ属性のエレメンタルが従っています。
また、ホールオブインフェルノにはやはり各属性のエレメンタルが浮遊しています。
このエレメンタル達の由来は、恐らく滅ぼされた当時のビスク人と思われます。
この着想はエレメンタルがドロップするブレスレット オブ ギデオンによる事となりますが、ダイアロスには無いはずの書物を参照する事になるので、詳しくはまた別の場面にしましょう。
しかしこの着想を基にした以降の考察によって、逆に不明の原典に頼らずともエレメンタル達が死んだ当時のビスク人の魂に由来している可能性は、
十分に立てられるはずなのです。
~魂に干渉する者達~
黒の廟堂ボスの一体、ウンディーネの姿で現れるレヴィアタンは、ウィスプを使役する能力を持ちます。ウィスプの活動エネルギーはレヴィアタンから抽出されているようで、ウィスプを削る事でレヴィアタンの生命力をも削る事が出来ます。
実はボスに紐付く者達が、ボスの生存に関わっている事例は枚挙に暇がありません。
例えば、火牛の喚ぶ炎は火牛を焼いて回復させます。
デュラハンの喚ぶ死霊騎士はデュラハンに吸収されデュラハンを回復させます。
ザハークのビットはザハークを回復します。
ミノタウロスグリードの部屋のオリジンピラーはミノタウロスを不死にします。
バジリスクマザーも、ガーディアンの存在によって攻撃を受け付けません。
同時に倒さねば、連なる者が復活する者達もいます。
warアルビーズの蛇女は、周りの白蛇が死ねば不死になります。
またwarボスの多くが、何らかの条件で不死となる構造を持ちます。
これらの事例に見られる「ある種の結びつき」が産む、独特の生命力は、実はとても馴染み深い人達がその存在を日常的に語っています。
「次に君が力尽きた時…
魂の復活場所がこの地点へと変わる。」
「君の魂を、この地点に結びつけた…
大きな闇の力が手に入った…」
ある種の結びつきが生命力を産む事、そしてそれは闇の側に属する事を、ソウルバインダーは惜しげもなく語ってくれます。
この結びつきの力、そのいくつかは恐らく「呪い」と呼ばれているモノでしょう。
例えば呪われた装備が装着者を離れないように。執着によりミーリム海岸に呪縛された者達は商売が出来るように。
しかし、ソウルバインダーはすべての魂が現世に留まる事をよしとするわけではありません。エルビン渓谷のソウルバインダーは、スルト鉱山の落盤事故で亡くなった鉱夫の魂の葬送を行っています。魂があるべきところにある。これもまた一つの結びつきなのでしょう。
ダイアロスでは「呪い」の相互作用が観測され、ある程度は制御が出来ています。
ソウルバインドは、明らかにプレイヤーキャラの不死性の一部を構成しています。NPCの霊体と違いプレイヤーキャラが容易く復活出来る事は、不朽のホムンクルスボディを得ている事にもよるのでしょうけども。
遡れば家ageのイビルタイタン型がすでにソウルバインドを運用していますが、これは1万3千年の間、誰かが継承して来たのでしょうか?
始まりのミーリム海岸で「水没」したプレイヤーキャラに施されたモラの技術とやらが、果たして時を越え受け継がれたモラの秘術であったのか?モラと関わりの途切れた人々が再発見した技術なのか?
それはまだわかりません。
しかし、生死に関わる現象を司る神。この神の在りようが、ウンディーネが魂を扱える存在である説を後押ししています。
~生命の神、ユグ~
ユグの箱を落とすmobの種類や加護の増減を観察する限りでは、生命の神ユグは、また水にまつわる事柄も司っている様に見えます。それは生命の源たる水の、様々な物質を溶かし運ぶ媒質としての側面でしょうか?
しかし興味深い事に、倒す事で生命の神ユグの加護を失うmobには一部のアンデッドが含まれ、その中には死神デスナイトがいます。
リアルに視点を移してみると、
古今東西、水は現世とあの世を分かつモノである、との世界観は普遍的であり、恐らくそれはmoe星の人類においても変わらないのでしょう。
ゆえに生命の神ユグは水を司る事により、生と表裏一体の、死に関わる権能をも持ったのではないでしょうか。
ムトゥーム地下墓地の最深部の巨大な石碑には、魚の絵が書かれています。そしてこの部屋は水路で分けられています。これがダイアロス人の死生観を表しているのならば、死神が纒うユグの神の加護とは、水により現世と隔てられた冥界への渡し守の任務に由来しているのではないでしょうか?
であるならば、人の死生観を理解出来るであろう水精霊ウンディーネもまた、魂にまつわる技術を扱えるのではないでしょうか?
これが、グラフヴェルズに発生しているエレメンタルが人の魂であるかも知れない説の背景考察です。
~ウンディーネの鎮魂歌~
ウンディーネに独自の文化があったならば、その一つは、
その歌声をもって行う、鎮魂と葬送の典であり、
なお渇望を抱える魂には、再起の試練をもって応える、
ソウルバインダーではないでしょうか。