失ったものを取り戻すのは難しい。 砕け散ったガラスのように、破片を全て拾い集めても 元通りにはならないものもある
それでも、諦めきれないものがあったとき どんなことをしてでも、取り戻したいとき 私は、何をどこまでできるだろう
…寒い。 一面の白銀の世界から吹き上がってくる、冷たい風に身を震わせる。 ここは、遥か未来の空に浮かぶ、1つのイーゴの終着点。
死のトラップだらけのダンジョンが有名だけど ここには人知れず、遺棄されたアルターの墓場がある。
この時代になるまでに、イーゴは世界のすべての生き物を滅ぼしてしまったし ノア・ストーンの力も開放されて、混沌の時代に通じるゲートになってしまっている。
アルターが移動装置でも、ノアストーンの力を配る装置でも いらなくなったのはわかるけど、どうしてわざわざ手元において、捨てたんだろう?
小さなアルターのノアストーンから光が失われているから 何かアルターに蓄えられた力を吸いとったんだろうか。
でも、地上には1つだけ、稼働するアルターがあって それのおかげで私たちはこの時代に訪れることができる。
ううん、アルターがノア・ストーンの力を配っているっていう 私の仮説はやっぱり間違っていたのかな。
あの最後のアルターは、いったいなんの役に立ってるんだろう。 この時代は本来イーゴ1人ぼっちで、あとはホムンクルスばかりなのに。
例外としては地上にモラ族とソウルバインダーの人がいるけど 彼らは私たちと同じように、過去からやってきたのでしょう。
ん…なんか引っかかる。 ソウルバインダーがいるってことは、旅人を蘇生する対価として 私たちのスキルを受け取って、闇の力、つまりイーゴのためになる何かをしている。
でも、イーゴはもともとすべての生き物を滅ぼしてて… やっぱり、変だよね。 せっかく滅ぼしたのに、わざわざ過去から人を呼んだりして。 寂しくなったわけでもないでしょうに。
そうする何か理由があるはず。 もう少し、考えよう。