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エルアン文明研究会

毎週火曜日・土曜日 23:00~ Pearlサーバー レクスール城門南の小部屋 で開催中
誰でもお気軽にお越しください!

虫とトカゲ

[元銃弾販売員Ctanaの日記]

塔は、なかば砂に埋もれて傾いていた。 ねじ曲がっていびつに伸びた先端。土とも岩ともつかない黒い肌。 近くに立って眺めてみると、砂に埋まったこの塔は、Ancient Ageにあるモラタワーそのものだ。

「モラタワーが半分以上砂に埋まっているのね・・・」 つぶやきながら塔の中に入ろうとした私は、賢者さんに制止された。

「中にはスカベンジャーが住みついていて危険よ。この中は、虫の巣になっている」 入るのなら魔物を召喚してからにした方が良いわよという賢者さんの言葉に従って、私は闇から相棒を呼び出してから塔の中に入る。

中央部に、モラタワーにあったアルターがそのまま残っていた。 アルターの周りにはたくさんの虫が集まっている。 召喚した魔物を突入させて、虫たちを踏みつぶさせながら辺りを見回す。

かなり古びてあちこち欠けたり崩れたりしているけれど、内部もモラタワーそのままだ。 外から入り込んだ砂に覆われて、床は見えなくなっている。

「かつて世界の中心だったというのは、モラタワーがあった場所だという意味だったのね」 古代モラ族の拠点であったモラタワーは、今こうして砂に埋もれて虫たちの巣になっている。 壊れて傾いたモラタワーを見つめていると、1万3000年の時の流れを思い知らされる。

あのアルターからは、条件が整えば別の場所に飛ぶことができるのだそうだ。 「その場所こそが本来の意味での“生命の檻”。人の手によって作り出された異様な生物が、その檻の中に閉じ込められている。 誰が何のために作った生物なのかははっきりわかっていない。何かの実験だったのではないかと思うけど、それが何だったのかは私にはわからないわ」 そう言って、賢者さんは肩をすくめた。

 

ふたたび外へ出て砂漠を見渡す。 視界は良好だ。少し離れたところに、鎧を着込んだトカゲの亜人たちが見える。 このハティル砂漠を分断している東西に走る深い断層。その断層の北側にだけ、トカゲの亜人たちは住んでいる。彼らは、エルアンの都に攻めてきたあの亜人だ。リザードマンと呼ばれている。

「ハティル砂漠には、この生命の檻の他にもいくつか遺跡が残されてるの」 リザードマンを眺めながら賢者さんが話し始めた。

「これらの施設を作ったのは古代モラ族だと言われているけど、使われている材料や作り方を見ると、私にはエルアン人が作った物ではないかと思えるの」 太陽は西に傾き、砂漠の暑さも少し和らいできた。私たちの影が、東の方角へ砂と一緒にうねりながら伸びている。

「エルアン人が作った物だとしたら、彼らはここで何かを研究していたのかしらね。いくつか残された研究施設。一面の砂漠になってしまった土地。凶悪な虫たちと凶暴なトカゲの亜人。そのトカゲの亜人リザードマンに攻め込まれて滅びたエルアンの都。なにか因縁めいたものを感じるのよ」 陽の光はどんどん西に傾いていた。

「かつて、ここは世界の中心だった。それは、古代モラ族の拠点だったモラタワーがあったからなのだろうけど、エルアン人の都がここにあったからなのかもしれない。 エルアン宮殿は、今はヴァルグリンドの奥にあるけれど、元々はここにあったのではないのかなと思ったりもするの。賢王が時の流れから切り離して封印したエルアン宮殿。それは時間凍結から目覚めたときにヴァルグリンドの奥に現れたけど、元々はここにあったのかもしれないなとね」

トカゲたちは砂の上にたたずんでいる。 砂の下には虫たちがうごめいている。 こんな殺伐とした砂漠が、かつて世界の中心だった。

古代モラ族がタワーの中にアルターを設置していた土地。今もいくつかの遺跡が残された土地。 ここに、モラからこの星の命運を受け継いだエルアン人たちの拠点もあったのだろうか。

陽が沈んで星が出た。 星灯りの中で、トカゲの顔をした亜人たちは、ただ静かに立ち尽くしていた。