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エルアン文明研究会

毎週火曜日・土曜日 23:00~ Pearlサーバー レクスール城門南の小部屋 で開催中
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ソウル・バインダー

[元銃弾販売員Ctanaの日記]

現代のハティル砂漠に残骸として残っていたモラタワーの中は、この1万3000年前の世界ではまだ清潔感と光に満ちた神秘的な空間だった。

ゲオのメインアルターからモラタワーに移動し、目のくらむような高さにかけられた吊り橋を渡ってタワーに入り、そこから反対側に出るとそのロボットは居た。

ミトヤや他のAncient Ageに居るものとは少し形が違う。 話しかけると、“彼”はたどたどしい言葉で私に言った。

「ワタシは お前たちの 魂を この地に結びつケル 仕事をしテいる」

この地に魂を結び付けるとはどういうことなのだろう。 ここは、現代から1万3000年前の世界だ。ここに魂を結び付けたら、私はいったいどこの人間になるのだろうか。

「ここに魂を結び付けたら、私はいったいどうなってしまうの?」 そう問いかけてみたけれど、“彼”からの返事はない。 古代モラ族の作ったロボットであるらしい“彼”には、決められた問いに対する返答しかできないのかもしれない。代わりに賢者さんが答えてくれた。

「ここを魂の復活場所にするということは、あなたがこの時代の人間になるということなんじゃないかな。だって、あなたの魂のよりどころは、ここになってしまうわけだから。 あなたとはこの姿になる前からの知り合いだから、私がコグニートの女性になる前の姿は知っているわよね?あの姿の私も私だし、今のこの姿の私もまた私。 身体はただの入れ物にすぎないわ。取り換えることもできるし、作り直すこともできる。 私の本体はこのコグニートの身体ではないし、以前の身体でもない。私の魂こそが私の本体。だとしたら、それをここに結び付けたら、私はこの時代の人間になってしまうのじゃないかしら」

この時代の人間になる。 それがどいうい意味を持つことなのか、私にはちゃんと理解することができなかったのだけど、魂の復活場所を現代に戻すことはいくらでもできるので、試しにここに私の魂を結び付けてみることにした。

魂の復活場所を変更すると、“彼”はこう言った。 「お前の 魂を この地に 結ビつけた またコれデ モラの発展に 繋がるだロう」

モラが発展する? 私がここに魂を結び付けることが、モラの発展につながるというのだろうか。 魂の復活場所。魂が結びついた場所。それは、ただその人が倒れたときその場所に魂として復活するという以上に、なにか意味を持つことなんだろうか。

「たくさんの魂を集めれば、たくさんの力が集まるのかもしれないわね」 賢者さんがそう言ったが、私にはまだその意味はよくわからない。 どういうことなのかと訊き返すと、賢者さんは「私にもまだはっきりとは説明できないの」と肩をすくめた。

「ソウル・バインダーって、いったい何者なのですか?このダイアロスに来てから、言われるままに彼らを利用してきましたけど、彼らが何者なのかということについては、あんまり考えたことがなかったです」 そう賢者さんに問いかける私の姿を、ロボットのソウル・バインダーはただ黙ってじっと見ていた。

“彼”は、古代モラ族が作った機械だ。その機械の“彼”が、魂の復活場所を変更することができる。 つまりそれは、魂の復活場所を変えるというのは超自然的な現象ではなく、古代モラ族が使ったという“科学”でできる機械的な処理なのだということを意味する。 修行を積んだ“人”のワザではなく、科学的に処理できる種類のもの。

私は、なんだか自分の魂の重さが、急に軽くなってしまったように感じていた。 モラの“科学”で簡単に変更できてしまうような、そんなたわいもないものが私の本体。

暗い顔をしていると、賢者さんが私の顔をのぞきこんで少し笑った。 「彼らが変更するのは、あなたの魂のよりどころだけよ。あなたの魂は、それほどつまらないものではないはずだと、私は思うわよ」

この人は、魂を見慣れている。 魂の状態になった者を連れて歩き、その身体を呼び寄せ、魂と身体とを結びつける。いわば、ソウル・バインダーのような仕事をなりわいとしている。

「ソウル・バインダーは、ただの処理システム。ロボットに扱えるからといって、その魂に価値がないということにはならないわ」 私って、思っていることがよほど読みとりやすい人なのだろうか。考えていることが全て表情に出ているのかなと思うくらい、賢者さんは私の考えをよく見抜く。

賢者さんは続けて言った。 「価値があるからこそ、その魂をその地に結び付けようとしているのじゃないかなと、私は思っているの。あなたの魂は、価値のないものなんかじゃない。むしろ、ソウル・バインダーが取り合いをするくらい価値のあるものなのよ」

じっと立っているロボットの後ろには、荒涼とした岩山がどこまでも続いている。 この不毛な地に私たちの魂を結び付けて、発展させようとしている古代モラ族。 彼らがこの地に結び付けた魂をどう使うのかは、私には想像することもできない。 ただ、賢者さんの言うように、発展するために必要とされる程度には、私の魂は価値があるものなのかなとは、少し思えた。

陽はまだ高い。 1万3000年前の太陽に照らされた生命の気配がない岩山は、どこまでもどこまでも、見渡す限り続いていた。