[ウィッチブレードのひとりごと]
どうしてダーイン山のオークたちは焚き火のまわりに集まっているのだろう?
焚き火で温まってるのかな? 確かにダーイン山はイルヴァーナ渓谷より標高が高そうだから、そのぶん寒いのかもしれない。 でも、標高が高いといってもミーリム海岸とそんなに変わらないんだから、焚き火で温まらないといけないほど寒いとは思えない。 それにオークは毛が生えてるんだから、そんなに寒がりとも思えないし。 この考えはたぶん違うかな?
ほかには- 動物除けとかかな? 火を怖がる野生動物を寄せ付けないように火をたいている? ダーイン山の近くにいる動物といえば・・・。 犬かな?蜘蛛かな?ライオンかな? でも、この辺にいる動物は強い相手は襲わない。 オークのほうが強いから、オークは襲われないはずなんだよね。 この考えも違うのかな?
あとはー 焚き火で料理をしているとか? そういえば今まで気にしたことがなかったけど、オークって何を食べているんだろう? 草食性だよね?違うかな? 確かダーイン山のテントの近くには、お芋の畑があったような気がする。 オークはお芋を食べて暮らしてるんだろうか? もしそうだとすれば、焚き火でやっていることは・・・。 そう。 焼き芋だ!
焚き火に集まって焼き芋をしているオークたちを想像してみる。 畑から掘り出したお芋を水で洗い、アルミホイルで包むオークたち。 それを焚き火に放り込む者たちもいる。 作業の指示を出しているのは青いオークだ。 子供たちも作業を手伝っている。 お芋を全て焚き火に投げ入れると、オークたちは焚き火のそばで膝を抱え、お芋が焼けるのを待っている。 あわて者が手を伸ばしてお芋を取り出そうとする。 まだ焼けてないと声が飛ぶ。 やがて焚き火の中からお芋が取り出される。 焼けたお芋をハフハフいいながら、口いっぱいにほおばるオークたち。 大人たちも子供たちもみんな嬉しそうだ。
その様子を想像して、思わずニヤニヤしてしまう。 私の中ではこれが正解でいい。 そう思える。
ふと我に返って周りを見回す。 ここはどこだろう? 後ろを振り返ると砦が見えた。 いつの間にか砦を通り過ぎていたらしい。 砦のガードの人たちがこちらをじろじろ見ているような気がする。 ニヤニヤしているのを見られただろうか? 私はあわてて先を急いだ。
つづく