[ウィッチブレードのひとりごと]
レクスール・ヒルズに着くと、彼女はお気に入りの場所に案内してくれた。 レクスールの城門から程近いところにある岩山の上だ。 そこは普通に登ってこれる場所ではなかった。 岩山というよりは岩の塔といったほうがいいようなところだ。 彼女は時間があるときはその岩山の上に座って景色をながめているのだという。 確かにそこからのながめはすごくよかった。 はるか遠くを流れる川や滝、山々の頂などが見える。
でも- いい景色なら見慣れてる。 ベテランの人に連れられて、色々なところに行ったことがあるから。 普通じゃいけないところ。 時空のはざまのようなところにも行ったことがある。 口ではいい景色だねと言ってみたものの、心の中では あまり感動していなかった。
そんな私の気持ちに気づいたのか、彼女は別のことを言い始めた。 レクスール・ヒルズには昔ダイアロスのみやこがあったんだ、と。 みやこ?ダイアロスの中心はビスクなんじゃないの? 私がたずねると。 今はそうだけどね。昔はここがダイアロスの中心だったんだ。 彼女はそう答えた。 そんな場所あったかなぁ? 私は必死に思い出そうとした。 そんな私を見て彼女は言った。 行ってみる?
私は思わずうなずいた。
つづく