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エルアン文明研究会

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Page058 旅人か、密偵か。

[カザヒシのメモ帳]

つい先程の事が、少し気がかりになったので書き留めておくことにする。

マブ教徒たちへの聞き取りを行っている途中、私は変わったオブジェを見かけた。 暗使ギルドのすぐ近くにあるそれは、絡み合う二匹の蛇の像。 他の町では見かけたことのない……というか見かけるはずもないような像。 本物ではないと思いたい小さなガイコツも置かれており、いかにもマブ教徒好みな感じだった。 二匹の蛇は片方が口を開け、片方は閉じている。 何か意味があるのだろうかと思い、屈みこんでその像を観察していたその時、 私の視界が影に覆われた。 何事かと思い立ち上がってみると、そこには一人の女性がいた。

「わっ!ごめんなさい!」

屈んでいた私に気付かなかったのか、立ち上がった私に驚いたようだった。 私には何の影響もなかったし、彼女に非があったわけでもない。 謝られるようなことはなかったし、むしろ驚かせてしまったようなので、私はただ「いえ。」と言った。

私はつい彼女を観察した。白い髪に白い肌、マブ教徒達とは違う黒い服を着たコグニートの女性。 どうやら彼女は地下墓地で暮らしているマブ教徒ではなく、私と同じ旅人のようだ。 ここは暗使ギルドの目の前なのだから、ギルドメンバーや入会希望者が行き来していても不思議はない。

「あ、あの!これって何でしょう?」

突然、彼女は慌てた様子で私に質問をしてきた。 これが何か知らないから観察していた私は、残念ながら彼女の問いには答えられず、知らないと告げた。

「そ、そうですか…失礼しました。ラル・ファ…なんでもないです!ではっ!」

彼女はやはり慌てた様子で、そのまま逃げるように早足で去って行った。 私はその時、彼女の去り際の言葉が気になった。 『ラル・ファク、イル・ファッシーナ』 聞き間違いでなければ、彼女はそう言いかけたように聞こえた。 別に私はマブ教徒ではないし、彼女がラル・ファク教徒であろうとなかろうと、どちらでもいいのだが、 仮に彼女がラル・ファク教徒か、或いはラル・ファク教徒に縁の深い人だとしたら…… どうしてこんな所にいたのだろう?

マブ教の本拠地でネクロマンサーを育てるギルドに、ラル・ファク教に馴染みの深い人が来たとしたら。 例えば、彼女は魔法使いとしてあらゆる魔法の腕を磨いており、 アルケィナでは教えてくれない召喚魔法や死の魔法についても修行したかったから、足を運んだ。 私のように、単にマブ教徒やこの地下墓地について興味を持ってやってきた。 或いは……敵対組織の偵察?

ビスクでマブ教徒についての話を聞くことはほとんどなかったが、実質的に対立しているのも同じだ。 互いに全く相容れない教義と言ってもいいのだから、良く思っていることはないだろう。 現に、ビスクの大聖堂にはマブ教徒が一人、ビスクの様子を伺っているようだった。 ラル・ファク教、ないしアルケィナでは、直接地下墓地へ足を運ばず、旅人を利用しているのだろうか?

モラ族の長老、イーノス様に認められた旅人であるなら、ビスクと地下墓地の往復も一瞬だ。 探りを入れるため、旅人にマブ教徒を育てるギルドの様子を見に行かせている。 もしかしたら、旅人はそれがマブ教徒に対する偵察であるということすら知らされていないかもしれない。 ……大義名分を与えて本質を隠す、ラル・ファク教徒らしい方法かもしれない。

彼女は果たして、ただの旅人か、密偵か。去っていく彼女の背中を、私は怪訝に眺めていた。 しかし、『ラル・ファク、イル・ファッシーナ』と言いかけてしまうようでは、密偵の線は薄いだろう。 彼女は単に、ビスクでの暮らしに馴染んでいただけで、つい言いかけただけかもしれない。 慌てたように見えたのも、単に私が驚かせてしまっただけだろうか?

何か裏があるかも、と勘ぐってしまう私は、ちょっと考え過ぎになっているのかな?