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エルアン文明研究会

毎週火曜日・土曜日 23:00~ Pearlサーバー レクスール城門南の小部屋 で開催中
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悪しき心

[元銃弾販売員Ctanaの日記]

冷たい風が吹いている。涼しいと表現するには冷たすぎる風だ。 ここはサスールの国。エルビン渓谷の北にそびえる険しい山をひたすら登って行くとたどり着く小さな国だ。ビースト・ブラッド族と呼ばれる獣人と、僧侶と忍者と牛たちが暮らしている。

町の中央にあるアルターを降りて見おろすと、はるか下を雲が流れていく。 町に並んでいるのは、独特な造りの建物だ。鮮やかな朱色に塗られた柱と梁、土と石で作られた灰色の壁、瓦葺きの屋根には角とも牙ともつかない尖った飾りがつけられている。ダイアロスでもここにしか見られない建築様式で、サスールの歴史の古さを感じさせる。

私は、いくつかある銀行のひとつに立ち寄ったあと待ち合わせ場所の高台へ向かった。

 

長い石段を上ると、六角形の建物が見えてくる。賢者さんは、建物の前にある石垣に腰かけて待っていた。

「無理言ってごめんなさいね。来てくれて助かったわ」 そう言いながら立ち上がると、真っ白なマントについた土ぼこりを軽く払う。

「話を聞きに来たんだけど、取り合ってもらえないのよ」 賢者さんはそう言って振り向くと、後ろにある建物を困り顔で見つめた。

この町の人たちは他国から来た人には冷たい。銀行員すらろくに話をしてくれない。 閉鎖的とか排他的とか言ってしまえばそれまでだけど、ここの人たちにしてみればそれもしかたがない話だ。外から来た人たちは、サスールから見ればみんな侵略者なのだから。

私は、エルビンの近くでいつも狩りをしているから、ここへは何度も来たことがある。いろいろと話をしたり手伝ってあげたりしているうちに仲良くなって、今ではどこへ行っても歓迎してもらえる。それを知っている賢者さんから、あなたとなら話をしてくれるかもしれないからと呼び出されたのだ。 とにかく話をしてみましょうと言ってから、私は賢者さんの前に立って歩き始めた。

 

建物の中に居るのは、摂政のフェイさんという人。いかめしい姿をした隻眼の巨漢だ。 着物姿に肩当て、腰には身の丈ほどもある長い刀を差している。姿を見たことはあるけど、この人に話しかけるのは初めてだった。

普段から召喚した魔物たちを間近で見ている私は、相手の姿を見て怖がるということはない。だけど、このフェイさんのオレンジ色の目でじっと見られると、怖いというのとは別の居心地の悪さを感じる。こちらの思惑を見透かされているような、わかっているぞと言われているような、そんな居心地の悪さだ。 しかしまあ、他ならぬ賢者さんの頼みだし、ずうずうしさは私の唯一の取柄でもある。私は意を決してフェイさんに近づき、話しかけた。

フェイさんが語ってくれたのは、だいたい次のようなことである。

かつてサスールは、古代モラ族に代わってノア・ストーンを管理していた。 エルガディンにノア・ストーンを奪われたあと長らく抗争を続けていたが、今は表立った行動はしていない。 サスールの指導者である高僧ポアドは預言者でもあり、ノア・ストーンについての暗い未来を予言している。 その予言通りにならないよう、ノア・ストーンを取り戻すためにいつか行動を起こさなければならない。 ノア・ストーンは人の手にあってはならない。封じなければならない。

なんですって?  話を聞きながら、私はこの巨漢が言ったことに驚いた。

ノア・ストーンを“管理していた”ですって? この人は、今、確かにそう言った。かつてはサスールが管理していたと。 つまり、サスールの人たちは、ノア・ストーンの制御のしかたを知っていたということになる。制御のしかたも知らないで管理などできないだろうからだ。

ここの人たちはノア・ストーンの扱い方を知っている。そして、封じると言っているからには、封じ方も知っているということだ。

サスールからノア・ストーンを奪ったエルガディンはどうなのだろう。 やはりノア・ストーンの管理のしかたを知っていたのだろうか。

 

「話はしてもらえた?」 外で待っていた賢者さんのところへ戻ると、考え込んでいる私に賢者さんが訊く。 私は、フェイさんから聞いたことを賢者さんに話した。

「12日間戦争のことは聞いているわ。攻めてきたドラキアに、エルガディンはノア・ストーンの力を使って魔法攻撃を仕掛けたらしいわね。つまり、エルガディンはノア・ストーンの使い方を知ってたということよ」 私の話を聞き終わると、賢者さんはそう言う。

サスール、そしてサスールからノア・ストーンを奪ったエルガディン。彼らはノア・ストーンの制御のしかたを知っている。 では、エルガディンからノア・ストーンを奪ったビスクは?

私は、ビスクがノア・ストーンの制御のしかたを知らないからそれを研究しているのだと思っていた。ノア・ストーンの制御のしかたは、研究しないとわからないのだと。 だけど、それを知っている人たちが居た。知っている人が居るのなら、その人たちから聞き出せば良い。わざわざ時間と手間をかけて研究するよりも、そのほうがずっと簡単なはずだ。 おそらく普通はそうするだろう。でも、ビスクはそうしていない。時間をかけて研究を続けている。

なぜなんだろう。 ビスクが研究しているのは、サスールもエルガディンも知らないことなのだろうか。 サスールやエルガディンの人たちが知らない使い方。いままでの管理者がしていなかった使い方。それをしようとしているのだろうか。

いったいイルミナは、ノア・ストーンを使って何をしようとしているんだろう。

フェイさんは、最後にこう言っていた。 「このままでは、ノア・ストーンは悪しき心に使われ、破壊を生み出すだろう」 破壊を生み出す悪しき心とは、どの心のことなんだろう。