[セレナイアの手記]
エルガディンの人たちは、竜を崇拝して、竜を家族のように扱う。 でも、私にはこの「竜」についても不思議に思うことがある。
ネオク地方で見られる種類は1つじゃない。
まずは、スカイドラゴン種。 体長は5mくらいで、深い青色の体に羽が生えている。 頭に飾りのような突起が特徴的で 前足は小さく、2本の足で立っている。 エルガディンが騎竜としているのはこの竜だけだ。
次に、ネオク高原でよく見るオルヴァン種。 体長は3mくらいで、黄色い体に羽はない。 頭には突起があるけど、スカイドラゴン種より小さくて 飛べない代わりに逞しい2本の脚で駆け回る。 竜としては下等な種なのか、エルガディン人が大切にしているようには見えない。 裁縫ギルドなんかでも、この竜の皮で防具を作ったりする。
3番目は、ネオクの奥のほうにいるネオクドラゴン種。 体長は10~20mくらいの巨大な体で羽もある。 (でもあんまり飛んでいるところを見たことがない) 前の2種と違って4つ足で歩くし、大きな角が生えている。 スカイドラゴンやオルヴァンより上位の種に見えるけど この種もエルガディン人はあまり大切にしていないようで 竜の谷の入り口まで来たこの種を、ガードが追い払っているのを見たことがある。
この3種のほかにもう1種、正確にはもう1匹のドラゴンがいるのだけど かなり狂暴で、エルガディンから討伐隊を募集しているくらい。 竜の谷にある竜の砦の上空にこれが現れると、竜騎士が慌てて追い払いに行く。
結局、エルガディンの人にとって大切な竜はスカイドラゴン種だけみたい。 5大英雄も、心を通わせることができたのはこの1種だけってことなのかな。 他のドラゴンと、何が違ったんだろう?