[セレナイアの手記]
せっかくビスクに戻って来たのだから、ということで 久しぶりに歴史会の会合に参加する。
今日は、聞いてるだけじゃない。 私の記念すべき最初のテーマである、ビスク港の塔について発表しよう。
発表の順番が近づくにつれて、だんだん緊張してくる。 こうなったら、やるっきゃないよね。
手記を見ながら、塔の構造や各地で調べたことを話していると いつのまにか緊張も忘れて熱弁していた。 「…あの塔は灯台じゃなくて、ガス工場じゃないかなって。」
笑われたり、すごい反論が来たらどうしようかと心配だったけれど 話が終わると、みんなが拍手をしてくれた。 やっぱりちょっぴり恥ずかしいけど、発表してよかった!
次にお話する人と交代して、席に戻る。 ふと、視線を感じて振り向いた私は心臓が止まりそうになる。 「あ…!」
最近すっかり油断して、忘れかけていた人。 私がビスクから遁走するに至った原因である彼女は 以前と変わらないレンジャーの姿で、会合の席に座っていた。
彼女もここのメンバーだった? でもそれならどうして後をつけたり? いや、実は私の勘違いで、彼女もビスクを調べていただけ、とか。 頭の中をいろんな考えが巡る。
そうこうしているうちに、彼女も私と目が合ったことに気づく。 やばい、えっと、どうしよう?